社会人財育成

現代社会はVUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代と呼ばれ、社会情勢やビジネス環境はかつてないほど複雑かつ急速に変化しています。これまでの常識や成功体験が通用しない場面も増え、企業経営には柔軟で迅速な対応が求められています。

このような時代において、企業の持続的な成長を支える基盤は「人」です。私たちは、社員一人ひとりを企業価値を創造する「人財」として捉え、人的資本を経営戦略と一体化させることが、今後の企業成長に不可欠であると考えています。

そのため、当社グループでは、柔軟な働き方の推進やキャリア形成を支援する研修・教育制度の充実、ダイバーシティの推進など、社員が最大限に能力を発揮できる働きやすい環境づくりに注力しています。また、社員の成長を積極的に支援する一方で、現状に満足することなく、常に新たな視点で課題を発見し、改善に挑戦する姿勢を社員に求めています。

さらに、従来の集合型研修に加え、さまざまな自己選択型の研修を充実させることで、社員のスキルアップを支援し、人財育成に力を入れています。

研修体系

当社グループでは、職種や等級ごとに求められる発揮能力や期待役割行動を定めた能力要件定義書を作成しており、能力要件定義書を基に、年次、等級別の階層別研修を実施しています。加えて、自己選択型研修として、eラーニング(Sawai Web School)、社外研修(Sawai Open School)、通信教育を幅広く取り入れています。これらの研修体系全体を社員にも広く周知することで、社員の自律的な能力開発支援に努めています。(下図:研修体系図は略図)

この図はサワイグループの社員の育成について図式化したものです。階層別の研修全体像と共に、社員自身のキャリア開発につながる自己選択型の研修について明示しています。スキル概念図では、階層別に求める三つのスキルを示しています。一つ目にヒューマンスキル(対人間関係力)を挙げています。その中でもコミュニケーション能力のように全階層に共通するもの、また主に中堅社員から管理職層に求められる部下育成があります。二つ目として、テクニカルスキル(業務遂行能力)を挙げています。テクニカルスキルについては、各業務において求められる専門知識や技術などの専門的なスキルを指し、各部門で教育実施します。三つ目として、コンセプチュアルスキル(意思決定関連能力)を挙げています。論理思考、問題解決能力、課題設定能力、戦略思考など、階層が上がるほど高いスキルが要求されます。階層別研修(必須)は、新卒の年次、等級別の研修を階層ごとに用意しています。内定者教育、新入社員研修、1年目ステップアップ研修を経たのち、若手社員向けに三つの研修を用意しています。SJSはサワイ・ジュニア・スクールの略で、新卒大卒5年目相当の社員を対象とした研修です。SASはサワイ・アドバンスト・スクールの略で、新卒大卒7年目相当の社員を対象とした研修です。SLSはサワイ・リーダー・スクールの略で、新卒大卒10年目相当の社員を対象とした研修です。並行して、若手社員研修、三等級昇格者研修、中堅社員向けの四等級昇格者研修、新任管理職研修を実施。管理職の中から選抜してサワイ・マネジメント・スクール(SMS)も実施しています。中途入社時にはキャリア入社研修も行います。自己選択型研修(任意)は社員が任意で選択できる研修として、サワイ・ウェブ・スクール(eラーニング)、サワイ・オープン・スクール(社外研修)、通信教育を用意しています。それぞれに多くのコンテンツを用意しており、それらを社員が選択して受講しています。その他にも、管理職を対象に次世代経営候補者研修を行っています。

研修受講者数

近年、学習場所や時間帯の自由度が高いオンライン型をはじめ、全社的な研修メニューを大幅に拡充したことにより、大幅に受講者が増加しています。

研修受講者数の推移は、ESGデータ「従業員の成長」をご覧ください。

ESGデータ(従業員の成長)

人事評価制度

当社グループでは、今後の持続的成長に向け、社員一人ひとりの潜在的な能力を発揮できる環境整備を行うことが何よりも重要だと考えています。よって、社員一人ひとりの能力開発を後押しすべく、評価や等級・昇格、処遇、配置・異動、人財育成などの人事制度に関し、社員に高めてもらいたい能力を定義した「能力要件定義」の内容をもとに、各制度が組み立てられています。

業績評価制度

業績評価は、上期および下期ごとに年2回実施し、①業務目標の達成度(目標設定評価)と②期待される能力の発揮状況(能力評価)によって決定します。
目標設定評価は、上期および下期の期初に「今期の取り組みテーマ」「達成目標と実行方法」「ウエイト」「難易度」の設定を行います。期末には、被評価者から申告される「実行した内容と達成度」「自己評価」に基づいて、評価者が評価を決めます。
能力評価は、「能力要件定義書」に基づき、被評価者がその期間中に発揮した能力について、項目ごとに5段階で評価します。

このように当社グループでは、「社員の個性と能力こそ最大の財産」という考えに基づいて、意欲と能力溢れる人財が存分に活躍できる舞台を提供し、透明で公平・公正な評価と処遇を行います。人事評価に対するアンケートの実施と結果分析に加え、社員意識調査を実施し、課題改善に活用しています。

キャリア支援

当社グループでは、社員一人ひとりが自分らしいキャリアを主体的に築いていけるよう、さまざまなキャリア支援策を用意しています。職場や上司による日常的なサポートに加え、社外の専門家の知見も積極的に活用し、多角的な視点から従業員の成長とキャリア形成を支援しています。

キャリア面談

上司と部下が1対1でじっくりと向き合い、業績やキャリアについて話し合う「キャリア面談」の機会を定期的に設けています。この面談では、社員が自身の目指すキャリアや身につけたい能力・スキルについて率直に上司に伝えることができ、上司もそれを受け止めたうえで、今後の成長やキャリアパスについてアドバイスを行います。こうした対話を通じて、社員の働きがいやエンゲージメントの向上、風通しの良い職場づくりを実現しています。また、上司との信頼関係を深めることで、日々の業務における課題や悩みも相談しやすくなり、社員が安心してチャレンジできる環境を整えています。

若手フォローアップ面談

入社1年目・3年目社員に対して傾聴スキルに長けた社外の専門家が話をじっくり聞くことで、入社後の悩みや問題意識をヒアリングし、社員のモチベーション向上と組織課題抽出を行っています。

若手キャリア研修

若手社員自身がキャリアに関する基本的な理解を通し、今後自身が強化すべき能力と行動が明確になっている状態を目指すべく、若手キャリア研修を行っています。若手社員が今の会社で主体的にキャリアを築く意欲を向上させ、「ありたい姿」を描き、その実現に向けて必要な自己成長と行動を明確にする機会としています。

社外キャリア相談窓口

社員一人ひとりのキャリアに関する悩みの解消やキャリアプランについて具体的に考えることをサポートするため、社外の専門家に相談することができる社外相談窓口を開設し、社員一人ひとりが描くキャリアを実現する一助としています。