ガバナンス取締役会について

取締役会が有するスキル

当社では、企業理念とサステナビリティ基本方針に基づき、ステークホルダーとの関係およびマテリアリティに掲げる項目を考慮して、取締役会に必要な7つの特定スキルを定めています。取締役会は、それらのスキルを有する取締役により偏りなく構成されるようにしています。この方針は、指名・報酬等ガバナンス委員会で承認されました。

スキルマトリックス

氏名 性別 社外
役員
国籍 専門性・経験
企業経営 ヘルスケア グローバル 医学・薬学 財務・会計・税務 法務・リスクマネジメント サステナビリティ・ESG
監査等委員
以外
澤井 光郎 男性 日本
横田 祥士 男性 日本
小原 正敏 男性 日本
三津家 正之 男性 日本
相徳 泰子 女性 日本
監査等委員 坪倉 忠男 男性 日本
谷口 悦子 女性 日本
Nose Yukiyo 女性 米国

重要と考える理由

企業経営 企業理念に基づく意思決定や経営責任を負ってきた経験が、当社グループの持続的な成長を導く経営判断にとって重要
ヘルスケア 医薬品のみならず新規事業を含む本業拡大と企業価値向上のためには、幅広いヘルスケア分野の知見と経験が重要
グローバル グローバル市場や規制を理解することは、国際的なサプライチェーンを含む事業運営のために重要
医学・薬学 総合ヘルスケア企業として、医療従事者や患者さんのニーズを捉え、品質向上を含む経営全般の価値創出に医学・薬学が重要
財務・会計・税務 企業価値を正確に算定し、資本効率の向上を図り、適正な納税を実現するため、財務・会計・税務の知見が重要
法務・リスクマネジメント 最適な意思決定で企業価値を最大化するため、ルールとリスクの見極めと判断を行う法務・リスクマネジメントの知見が重要
サステナビリティ・ESG 当社グループの持続的成長と社会課題への対応をともに実現するためには、ESGの観点が重要

取締役会の運営改善

当社の取締役会では、重要案件については、グループ投資委員会やグループ戦略会議における審議を経て取締役会に諮ることで、より重要な点に絞った深い議論がなされるよう工夫しています。また、関係会社管理規程によってグループ各社の重要な経営状況が取締役会に報告されるとともに、一定の基準内の案件はグループ各社で決定できる権限委譲がなされており、グループ会社の監督と意思決定のスピードのバランスを図っています。

【議案数の推移】2019年度:250件、2020年度:198件、2021年度:139件、2022年度:124件、2023年度:156件/【決議事項】2019年度:100件、2020年度:106件、2021年度:77件、2022年度:71件、2023年度:82件/【報告事項】2019年度:150件、2020年度:92件、2021年度:62件、2022年度:53件、2023年度:74件
2023年度取締役会での社外役員からの主な質問・意見
  • (不適切試験の調査結果に対し)組織性が認められないという調査結果は救いであるが、供給は止められないとか、成長が何よりも優先という気風があったのではないか。
  • (人的資本への投資について)今後の成長に向け大きな論点の一つとして打ち出してはどうか。
  • (資本コスト経営として)株主還元もさることながら、資本コストを意識して事業ポートフォリオをどうマネジメントしていくかが重要。
  • (守りのリスクとして)内部通報窓口にGMP・GQPに詳しい者を入れて、体制を強化してもらいたい。スピードと深さが重要。
  • (社会のサステナビリティへの貢献として)小児用製剤は、廃棄問題を含め、アンコンシャスバイアスを取り除きながら議論を進めてほしい。

役員報酬

当社の取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く。以下、「対象取締役」という。)の報酬は、基本報酬(固定報酬)、賞与(業績連動報酬)および中長期的なインセンティブとして譲渡制限付株式報酬で構成しています。譲渡制限付株式報酬は、役位等に応じて一定のルールに従い事前に付与する勤務継続型譲渡制限付株式報酬と、当社の中長期的な企業価値向上目標の達成度に応じて一定のルールに従い事後に交付する業績連動型譲渡制限付株式報酬により構成しています。譲渡制限付株式報酬は、役位および在職年数をベースに、別途定めた内規に従い、総報酬額の10%以上を目安に付与することとしています。基本報酬と賞与の割合は、概ね3:1を目安としています。

なお、取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬等の額は、年額620百万円以内(うち、社外取締役分は100百万円以内)と定めています。本件は、当社の指名・報酬等ガバナンス委員会における審議・答申を経て取締役会で決定された後、2025年6月25日開催の第4回定時株主総会において決議されました。

各取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)に対する具体的な金額、支給の時期等は、指名・報酬等ガバナンス委員会での審議・答申を経たうえで、取締役会の決議により決定します。取締役の報酬額には、使用人兼取締役の使用人部分の給与は含まれないものとします。

当社は、取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針を定めており、本件は、当該方針に沿うものです。また、譲渡制限付株式報酬のうち、勤務継続型譲渡制限付株式報酬として支給する金銭報酬債権の総額を年額50百万円以内として、業績連動型譲渡制限付株式報酬として支給する金銭報酬債権の総額を年額100百万円以内として設定されています。

一方、監査等委員である取締役の報酬等の額は、年額100百万円以内と定めています。各監査等委員に対する具体的な金額、支給の時期等は、監査等委員の協議により決定します。

【2024年度の取締役報酬等の構成比(社外取締役を除く)】基本報酬(固定報酬):58.2%(2023年度:65%)、賞与(業績連動報酬):20.4%(2023年度:22%)、ストックオプション:21.4%(2023年度:13%)

役員報酬等の内訳

役員の区分 報酬等の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円) 対象となる
役員の員数(名)
固定報酬 業績連動報酬 ストック
オプション
取締役(社外取締役を除く) 98 57 20 21 2
監査役(社外取締役を除く) 18 18 1
社外役員 45 45 5

取締役に対するトレーニングの方針

当社は、取締役が期待される役割・責務を適切に果たせるように、当社事業や財務の現況をはじめ、さまざまな情報を積極的に提供します。また、必要に応じて業界やガバナンスに関わる諸制度やルール等に関する情報を提供するとともに、研修等の機会を提供します。

社外取締役のサポート体制

社外取締役(監査等委員である取締役を除く)が職務を遂行するにあたって調査費等費用を必要とする場合は、合理的な範囲内で当社に対する費用請求権を認めているほか、職務に専念できるよう社外取締役(監査等委員である取締役を除く)の事務を一部グループ総務部のメンバーが補助することにより、情報共有および社外取締役の監督機能の強化を図っています。

常勤監査等委員である取締役が、監査等委員会と取締役会および会計監査人との窓口となるほか、社内関連部門からの報告および当該関連部門への情報伝達も常勤監査等委員である取締役を経由して行うなど、各監査等委員である社外取締役の監査業務が効率的となるような体制を定めています。また、常勤監査等委員である取締役が、各監査等委員である社外取締役からの意見・報告等を取りまとめ、監査等委員会の議案作成、その他監査等委員会の円滑な運営を行う体制を採っています。その他、監査等委員である社外取締役が監査にあたって調査費等費用を必要とする場合は、合理的な範囲内で当社に対する費用請求権を認めているほか、監査に専念できるよう、監査等委員である社外取締役の事務を一部グループ経営監査室のメンバーが補助することにより、情報共有および社外監査等委員である取締役の監督・監査機能の強化も図っています。この場合において、当該補助者は、取締役の指揮命令・監督から独立し、それぞれ社外取締役(監査等委員である取締役を除く)または監査等委員である社外取締役に属して補助業務を遂行します。

社外取締役の独立性に関する判断基準

社外取締役の選任理由

氏名 独立役員 選任理由
小原 正敏
【2024年度 出席状況】
取締役会:
11/14(78.6%)
小原正敏氏は、沢井製薬の社外取締役としての在任を除いては、現在または過去において当社グループの役職員、主要な株主または出資先、主要な取引先、多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家でなく、また、これらの出身でもなく近親者にも該当せず、一般株主と利益相反が生じるおそれがないと考えています。
また、同氏は、弁護士活動を通じて幅広い法律的知識を有しているほか、他社の社外取締役としての経験を有しているため、独立した立場からの有用な助言と判断が期待でき、取締役会の監督機能の強化および透明性の向上に繋がるものと判断しています。
以上を勘案し、当社の社外取締役および独立役員として選任しています。
三津家 正之
【2024年度 出席状況】
取締役会:
14/14(100%)
三津家正之氏は、現在または過去において当社グループの役職員、主要な株主または出資先、主要な取引先、多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家でなく、また、これらの出身でもなく近親者にも該当せず、一般株主と利益相反が生じるおそれがないと考えています。
また、同氏は、日本有数の医療用医薬品製造販売会社の経営トップの経験者として、非常に豊富な専門知識や経験を有しており、独立した立場からの有用な助言と判断が期待でき、取締役会の監督機能の強化および透明性の向上に繋がるものと判断しています。
以上を勘案し、当社の社外取締役および独立役員として選任しています。
相徳 泰子
【2024年度 出席状況】
なし
(2025年6月新任)
相徳泰子氏は、現在または過去において当社グループの役職員、主要な株主又は出資先、主要な取引先、多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家でなく、また、これらの出身でもなく近親者にも該当せず、一般株主と利益相反が生じるおそれがないと考えています。
また、同氏は、医薬品事業の企業経営および医学・薬学における豊富な専門知識や経験等を有しており、独立した立場からの有用な助言と判断が期待でき、取締役会の監督機能の強化および透明性の向上に繋がるものと判断しています。
以上を勘案し、当社の社外取締役および独立役員として選任しています。
谷口 悦子
【2024年度 出席状況】
なし
(2025年6月新任)
谷口悦子氏は、現在または過去において当社グループの役職員、主要な株主または出資先、主要な取引先、多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家でなく、また、これらの出身でもなく近親者にも該当せず、一般株主と利益相反が生じるおそれがないと考えています。
また、同氏は、会計・税務の専門家としての経験および幅広い見識を有し、当社の経営判断・執行に客観的、独立した立場で有用な助言や監査が期待でき、取締役会の監督機能の強化および透明性の向上に繋がるものと判断しています。
なお、同氏は社外取締役または社外監査役となること以外の方法で会社経営に関与したことはありませんが、上記の理由により、社外取締役としての職務を適切に遂行できると判断しています。
以上を勘案し、当社の社外取締役および独立役員として選任しています。
Nose Yukiyo
【2024年度 出席状況】
なし
(2025年6月新任)
Nose Yukiyo氏(日系アメリカ人)は、現在または過去において当社グループの役職員、主要な株主または出資先、主要な取引先、多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家でなく、また、これらの出身でもなく近親者にも該当せず、一般株主と利益相反が生じるおそれがないと考えています。
また、同氏は、企業経営、医学・薬学、ESG分野に幅広く、永年関わった経験から相当程度の知見を有しており、独立した立場からのグローバルな視点での有用な助言や監査が期待でき、取締役会の監督機能の強化および透明性の向上に繋がるものと判断しています。
以上を勘案し、当社の社外取締役および独立役員として選任しています。

取締役会の実効性評価

当社は、取締役会の実効性について分析・評価を毎年1回行い、必要に応じて改善に取り組みます。2024年度の取締役会の実効性評価の実施結果の概要は、以下のとおりです。

評価の実施方法

取締役および監査役(合計8名)に対して第三者機関作成のアンケートによる自己評価形式を採用した。

  • 第三者機関が無記名式による自己評価アンケートを実施
  • 第三者機関がアンケートを集計、結果を分析
  • 第三者機関より受領した報告書を基に取締役会で検証・議論

評価項目

評価項目は、5段階で評価する選択形式の31問のほか、テーマごとに評価および改善等について意見を自由に記載する形式9問の11分類合計40問で構成されている。

  1. 取締役会の構成
  2. 取締役会の運営
  3. 取締役会の議論
  4. 取締役会のモニタリング機能(前回の実効性評価結果から導き出された課題を含む)
  5. 社内取締役のパフォーマンス
  6. 社外取締役のパフォーマンス
  7. 取締役・監査役に対する支援体制(トレーニングを含む)
  8. 株主(投資家)との対話
  9. 自身の取り組み
  10. 指名・報酬等ガバナンス委員会の運営
  11. 総括

主な意見

主に次のような意見が挙げられました。

  • 社外取締役に製薬企業の経営トップ経験者がいることで、経営に必要な議論のできる体制が強化されている。
  • 社内取締役と社外取締役の構成比率は妥当と考えられる。
  • 中期計画にある各課題について、品質改善の課題も含めて適切な頻度で報告されている。
  • 医学・経営・法律の専門家が社外取締役に就任しており多角的にモニタリングできている。
  • 年々、取締役会の支援体制については強化できていると感じている。
  • 人的資本の強化施策(CEO育成計画、幹部社員の育成計画)の議論の充実が望まれる。
  • 急激な会社の業容拡大に比して社内人材の育成体制が整備途上であるため、後継者等について困難な課題があるものの、自由闊達に議論をして方向性を見出して欲しい。
  • 取締役会資料に中期計画や会社の経営方針との関係の記載が十分ではない例が散見される。
  • 各本部の報告等では、事業全体像の把握に必要な情報を提供されているが、今後の課題やリスクなどについての記載も整理・分析をお願いしたい。
  • 取締役会での意思決定事項が背景経緯も踏まえ適切に業務執行の現場に伝わることで実効性が担保されると考えるが、現状では十分ではないと感じる側面もある。
  • 新規事業施策などは可能な範囲で早期に事前情報提供をいただき、十分な情報収集と意見集約に取り組んでいただきたい。
  • グループ全体のモニタリングに関して、もう少し強化する必要があると感じる。
  • 今後、子会社や関連会社が増えたり、業容が拡大すると思われるので、子会社管理や内部監査部門等の監査体制の整備が重要となる。

評価結果

第三者機関が取りまとめた評価結果を基に2025年4月25日の取締役会で議論を行い、当社の取締役会は、一部改善の余地はあるものの、全体としてはおおむね十分機能していると評価しました。

さらなる実効性向上に向けた課題と方向性

今回の評価結果を踏まえ、2025年度の取締役会において、さらなる取締役会の実効性向上を図るため、

  • 後継者計画、中核人財の多様性確保・育成・社内環境整備
  • 経営計画の進捗状況および重要な決議事項へのフォローアップ・モニタリング
  • 持続的成長・企業価値創出に関する議論、情報共有の一層の充実

の3項目の改善に取り組んでいく予定です。

取締役候補者、執行役員の選任の方針と手続き

当社の取締役会が、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を担う経営陣幹部の選任と取締役候補者の指名を行うにあたっての方針は、指名・報酬等ガバナンス委員会からの助言・提言を十分に尊重しつつ、取締役会全体としての規模、バランス、多様性等を考慮しながら、職務に相応しい豊富な経験と専門性、業績、高い見識と人格等を総合的に判断して決定します。その手続については、「取締役会規則」および「指名・報酬等ガバナンス委員会規程」において定めています。

監査等委員である取締役候補者の指名にあたっての方針は、業務執行者からの独立性の確保、公正不偏の態度の保持等、「監査等委員会監査等基準」に従い決定します。その手続については、「監査等委員会規則」において定めています。

執行役員は、管理職として高い成果を継続して生み出し、誠実な人格で職責に必要な経験と専門性および当社経営陣幹部に相応しい高い見識と品格を有する者の中から、指名・報酬等ガバナンス委員会での審議を経て、取締役会にて決定します。

取締役を含めた経営陣幹部の解任にあたっての方針は、指名・報酬等ガバナンス委員会からの助言・提言を十分に尊重しつつ、次の事項を総合的に考慮して決定します。

  • 経営陣幹部の選任要件を満たさなくなった場合
  • 法令・定款等違反その他会社の信用を毀損する行為を行った場合
  • 心身喪失、その他健康上の理由により職務を遂行できない場合
  • 善良な管理者の注意義務違反を行い、会社に多大な損失を与えた場合

また、その手続についても、「取締役会規則」および「指名・報酬等ガバナンス委員会規程」において定めています。

後継者計画の検討

当社は、指名・報酬等ガバナンス委員会において、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画(プラニング)の全体像を検討し、概要は整備ずみです。2024年度は、指名・報酬等ガバナンス委員会において、CEO以外の経営陣幹部を含めた後継者計画の具体的な議論に着手しました。今後、具体的な後継者候補の選定基準や育成プラン等を含むより具体的な計画を策定し、取締役会に答申し、審議・承認を得た後、実施していく予定です。

政策保有株式の方針、議決権行使基準の掲載

当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るために、経営戦略の一環として必要と判断する上場株式を保有することがありますが、原則として、純投資目的で投資株式を保有することはありません。また、株式の政策保有は戦略的提携の有効な手段となりうるものと捉えています。当社グループが上場株式を保有する場合には、主要な政策保有株式について、資本コストとの見合いも含め、保有目的にそった保有の合理性に関して毎年定期的に取締役会で検証を行い、合理的でないと判断した場合には保有を縮減する方針にしています。

また、2024年1月の取締役会で決議した「事業ポートフォリオと資本政策の見直しの基本方針」に沿って政策保有株式を縮減する予定を中期経営計画に掲げています。2024年度中に政策保有株式の見直しにより3銘柄(簿価の約7割弱)を売却したほか、2025年4月にも1銘柄の売却を行いました。

議決権の行使にあたっては、各別の議案内容およびその背景等が異なるため、統一の行使基準は定めていません。保有先企業との対話を実施し、当該企業の経営方針や議案内容等の理解を深めることにより、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資するか否かについて議案毎に個別に検討したうえで適切に議決権を行使します。

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