環境気候変動
気候変動が社会や経済にもたらす影響は大きく、当社を含むサワイグループに重大な財務的影響を与える可能性があるため、気候変動への対応を当社グループとして取り組むべき重要課題(マテリアリティ)の一つと捉えています。そのため、当社は気候関連財務情報開示の重要性を認識し、2021年9月にTCFD※1提言への賛同を表明しました。
当社グループは、パリ協定※2をはじめとする国際的方針、日本国が決定する貢献(NDC)や気候変動に関連する法規制や政策を支持し、温室効果ガス排出量の低減に取り組むとともに、TCFDの開示枠組みに沿った情報開示を行ってまいります。
- G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、2015年12月に設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」
- 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を行い、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとること
TCFD提言に基づく情報開示
ガバナンス
当社グループでは、気候変動を含む環境課題への対応を企業の社会的責任(CSR)と認識しており、当社グループのサステナビリティに関わる重要な課題の一つと捉えていることから、グループサステナビリティ推進部担当役員に気候変動問題に対する責任を割り当て、取締役会がその職務の執行状況を監督しています。
当社では、グループ各社からの代表者メンバーにより構成される「グループサステナビリティ委員会(以下「委員会」)」を設置し、年4回、気候変動課題を含むサステナビリティに関する事項を協議・検討しており、グループサステナビリティ推進部担当役員が委員長を務めています。委員会は、取締役会へ活動報告を行うとともに、取締役会からの指示・監督のもと、気候変動課題に関する意思決定を行っています。
また、委員会の下部組織としてグループ各社からのメンバーにより構成される「地球環境チーム」を設置して、気候変動を含む環境課題への対応として具体的な取り組み・活動を推進し、四半期に1回、委員会に報告を行うとともに、委員会からの指示・助言等に従って取り組みや改善活動を継続しています。
気候変動関連のリスクおよび機会については、「地球環境チーム」のメンバーを中心に検討会において洗い出し、評価、対策等を行った結果をグループサステナビリティ推進部担当役員に報告するとともに、委員会ならびに取締役会に報告がなされ、審議の結果、委員会または取締役会から発せられた指示・助言を受けて、改善を図る仕組みにしています。さらに、当社グループの中核企業である沢井製薬においても、サステナビリティ推進部担当役員が委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置し、年4回、同様に開催し、協議・検討しています。
当社グループでは、インターナルカーボンプライシング(以下「ICP」)について、2024年度に委員会で検討・審議した後、グループ戦略会議とグループ投資委員会の審議を経て導入を決定しました。また、今後も同様のプロセスで定期的にICPを見直します。
戦略
当社グループは、企業理念「なによりも健やかな暮らしのために」および当社グループの中核企業である沢井製薬の企業理念「なによりも患者さんのために」のもと、ジェネリック医薬品の製造販売を主たる事業として展開しています。生命と健康に関連する医薬品やヘルスケアサービスの安定供給を欠かすことができない制約のもと、重要事項の一つである気候変動リスクにもバランスよく対応していくことが必要であると考えています。
一方、当社グループの事業拡大に伴う医薬品やヘルスケアサービスの需要増に応じて、温室効果ガス(GHG(当社グループでは主にCO2))の排出量も増加傾向にありますが、短期的には原単位ベースでの排出量削減に取り組むとともに、中長期的には、再生エネルギーの導入検討を含む排出量の削減に取り組んでいきます。
当社グループでは、気候変動関連課題を含むサステナビリティへの対応を経営の重要な課題として捉えており、当社グループの中期経営計画(以下、中計)において、2030年度までに削減するCO2排出量および2050年度までに削減するCO2排出量の目標を設定し、その達成に向けて取り組みます。
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関するIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表するRCPシナリオを参照したうえで、パリ協定の目標である「産業革命前からの全世界平均気温の上昇を2℃未満に抑える」ことが達成される場合を想定した1.5℃シナリオと、政策や規制に大きな変更がなく現状に近い状況でGHG排出量が増え続けて全世界平均気温が上昇する4℃シナリオの複数のシナリオにより、当社グループに及ぼす影響を検討しています。
また、CO2排出量を価格に換算することで、その削減効果を定量的に把握しやすくするとともに、CO2削減に向けた設備投資の促進につなげるため、投資判断基準の一つとしてICPを設定しています。ICPは、IEAのネットゼロシナリオによる2050年時点の予想炭素価格をベースに、当社グループのWACCおよび社内為替レートを用いて毎年算出・設定しています。このICPを活用した投資判断は、主に省エネルギーを目的とした設備投資案件を対象としています。
リスクマネジメント
当社グループでは、原材料の調達から製造・販売に至るまでのサプライチェーンの各段階において、気候変動に関連するリスクと機会を洗い出し、それぞれの発生可能性と当社グループへの財務的影響度を評価したうえで、重要なリスクと機会を特定しています。このプロセスは、「地球環境チーム」のメンバーを中心に、サプライチェーンの各段階に深く関わる部門や関連各社の関与と協力を得て進められ、選定・評価された内容は委員会ならびに取締役会へ報告されます。当該報告を基に委員会ならびに取締役会での検討・審議を経て決定された気候変動リスクおよび機会に対する取り組みは、短期的には毎年の事業計画に、中長期的には中計に適宜組み込まれる仕組みになっています。
さらに当社グループは、将来的な炭素税や排出権取引制度などの規制強化や制度改正への対応としてもICPを導入・活用し、リスク管理の一環としています。
指標と目標
当社グループでは、CO2を含むGHG排出量の削減目標の設定に当たり、Scope1、Scope2およびScope3をモニタリング指標として採用し、毎年のScopeごとの実績を当社コーポレートサイトに開示します。中計において、2030年度までにCO2の排出量(Scope1, 2)を総量で2013年度+α※3比46%削減、また2050年までにネットゼロを掲げています。また、Scope1、Scope2とも前年比少なくとも1%以上の削減を短期的な削減目標として毎年設定しています。
目標の達成に向けて、2025年度は、CO2排出量6,000トン相当の非化石エネルギーの導入のほか、省エネルギー設備投資および非化石証書の活用などにより、合わせてCO2排出量10,000トン相当以上の削減を予定しています。また、CO2排出量1トン当たりのICP価格として、2025年度は14,500円を設定しています。
- 比較対象となる2013年度時点におけるサワイグループの構成会社状況が変化しているため、基準となるCO2排出量を適宜調整するため+αで表現している。
気候変動に関わるリスクと機会
| 区分 | リスクの概要 | ビジネス・戦略・財務計画への影響 | 影響度 | 当社グループの対応 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1.5℃シナリオ | 4.0℃シナリオ | ||||||
| リスク | 移行リスク | 政策・法規制リスク | カーボンプライシング(炭素税、排出量取引制度)の導入や負担の増加 |
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中 | 小 |
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| 人口・経済・地政学リスク | 人口増加、気温上昇による生物由来の原材料の価格高騰 |
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小 | 中 |
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| 物理リスク | 水害リスク(急性) | 台風・豪雨・洪水・大雪等の増加 |
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小 | 大 |
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| 機会 | 現状では気候変動により当社グループの事業に影響を及ぼす機会のうち、戦略や財務状況に重要な影響を与えるものは分析・評価の結果、特定されませんでした。 | ||||||
| 対象期間 | 2021年度~2030年度 |
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| 対象範囲 | 当社グループ |
| 影響度区分 |
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