なによりも社員のために、
業務効率化を目指すRPA推進活動

グループIT部若林 陸

なによりも社員のために、
業務効率化を目指すRPA推進活動

グループIT部
若林 陸

「一人で完結することは“仕事”ではなく、“作業”です。私はそう思っています。」
社内SE(システムエンジニア)として尽力する若林陸は、「チーム」の結束力をなによりも重要視している。一人の力では、大事を成し遂げられない。そう思うようになったのは、過去の挫折が教訓になっている。

若林はかつて金融業界でシステム開発、保守、運用を担当し、インド企業に委託したシステム開発などにも携わった。その際に、言語や文化の異なる海外のSEたちとのやりとりにおいて辛酸を舐めたという。「納期が迫っていても、定時で帰ってしまう。そういう人たちに対して、仕事を促すことに頭を悩ませました。意思疎通が思うようにいかず、悔しかった。私の苦い思い出です。」その時の経験は現在に活かされ、若林の糧となっている。

2019年2月、若林は当社に中途入社した。前職の電機メーカーでは、世界的な企業の基幹システムにおける海外販社導入プロジェクトにも参画していたが、さらに飛躍を求めて当社を選んだ。

「これまでの経験を活かした上で、プロジェクトのリーダーをしたいという思いがありました。転職フェアの会場に足を運ぶと、沢井製薬も出展していました。学生の頃に電車の車窓から日々、沢井製薬の社屋を眺めていたこともあって、社屋が漠然と頭に浮かび、ご縁を感じました。それに、ジェネリックにも関心がありました。特許切れの薬が低価格で提供される。そういう発想は、大事ですね。」

入社すると、社内にはすでに「RPA」(Robotic Process Automation)を導入したいという機運があった。RPAとは、ソフトウェア上のロボットを作成することでデータ収集や入力、メール配信などの定型業務を自動的に実行する技術だ。それにより、単純な事務作業が効率化され、入力ミスの防止や社員の負担軽減が図れるため、多くの企業で導入が進んでいる。また、高度なプログラミング知識が求められず、現場でカスタムできるのも魅力だ。いわゆる、EUC(End User Computing)だ。EUCとは、プログラムやシステム開発などの高度な知識を持たない人でも、業務で使用するシステムの開発や運営に携われることをいう。前職でRPA導入の経験があった若林は、当社の新たな取り組みのメンバーに抜擢される。活動はさまざまなRPAツールの評価からはじまり、社内ヒアリングでどの作業にどれだけの時間を割いているのかを確認する。そして、RPAツールを選んだ上で外部のシステム会社と試行錯誤を繰り返し、導入する。

「RPAツールは社員が各々の業務に合わせて、自ら設定していくものです。そのため、ツールの選定にはなによりも、“使いやすさ”を重視しました。幸いにもRPAに興味を示した部署もあり、説明会を実施したのが普及活動のはじまりです。ただ、時期が悪かった。2020年3月というコロナ禍で、対面の禁止など制約がありました。リモートでは、どうしても熱意が伝わりにくかったです。」

それでも、若林は精力的に各部署と連携を図り、社内の課題や問題点に耳を傾け続けた。昨年からは、全社向けの説明会やイントラネット内にポータルサイトを設けるなど、意欲的にRPAツールの情報を発信した。そうした地道な推進活動によって、現在では100名以上のRPA利用者が登録。また、「もくもく会」という講習会を隔週で開き、「RPAを使ってもらう」ための活動にも奮闘している。

RPAツールの概念図

直近では、メール作成の効率化が挙げられる。あるデータを数十の取引業者ごとに切り分けて、手作業で各々にメールを用意する定型業務がある。そうした事務的な作業がRPAツールによる自動化によって、「送信ボタン」を押すだけで完了する。実際に利用した人からはたまらず、「えっ」という驚きの声が口をついて出たという。

「そういう声を聞くと、素直にうれしいですね。社内SEとしてのやりがいです。社員のために、“仕事”をしているから。決まった時間に、決まった作業を手順通りに行う。こうした“定型業務”は、必要です。でもね、RPAツールを活用すれば、今よりもっと“作業”は省けます。そうすると、時間に余裕ができる。“考える”、そして“創造する”。そういう、“人でなければならない業務”に注力してもらいたいと思っています。」

念願のプロジェクトリーダーを任されている若林は、リーダーとしての責任を全うするように社員とのコミュニケーションを欠かさない。社員との信頼なくして、EUCの実現はないと考えているからだ。課題に対して社内の人たちに寄り添い、チームの仲間とともに解決策を模索する。その積み重ねが、信頼関係を構築する。

「なによりも“サワイグループの社員”のために。」

今日も、若林はRPAの普及活動に奔走している。

※この記事は、2024年1月に取材した内容をもとに作成しています。