写真

ESG戦略(副会長メッセージ)

副会長
(特命担当・ESG 担当)
末吉一彦

持続的成長の基盤となるESGの取り組みを、
一層充実させていきます

ESG戦略(副会長メッセージ)

経営課題としてESG拡充に取り組みます

当社グループは「なによりも健やかな暮らしのために」を企業理念に、人々の健やかな暮らしの実現を目指しています。サステナビリティ基本方針にも明記しているように、「健全な社会の存在とその持続的(サステナブル)な発展」こそが、私たちの存立基盤です。

2021年に私自身も関わり、この基本方針を策定しましたが、企業活動の在り方と社会との関係について考えるようになった原点は若い頃にさかのぼります。ある経済団体の事務局を務めた際、「自然循環と同じように経済活動も循環しており、パイを取り合うのではなく、拡大再生産していく過程で相手も自らも栄えていく」という考えに触れました。いま企業に求められているサステナビリティ活動とこの考えは、底辺でつながっているように思います。

生産活動に伴う環境負荷削減に取り組みます

まずE(環境)への取り組みですが、これまで当社はジェネリック医薬品の安定供給を目指して生産能力の強化に注力してきましたが、生産活動に伴う環境負荷への配慮は必ずしも十分ではありませんでした。

その点を踏まえて、2022年度は中期経営計画の環境目標を変更しました。CO₂排出量削減について具体的な削減手段を検討したうえで、グループ目標を従来の生産数量原単位ではなく排出量に変更し、数値目標も2030年に、2013年度+αを基準に46%削減することとしました。また、地道な取り組みとして、今後は、包装に使う廃プラスチックのさらなる再資源化にも注力していきたいと考えています。

多様性の確保や人的資本への投資を着実に推進

S(社会)の分野では、数年前からぜひやりたいと思っていたことのひとつが、ID&E(インクルージョン・ダイバーシティ&エクイティ)の推進です。

当社グループの社員は1/3が女性ですが、女性管理職比率はまだ低く、目標の8%に至っていません。そこで、2022年度、このテーマに関して有志を募ってプロジェクトチームを立ち上げ、経営への提言をまとめてもらいました。その提言を実際にアクションに移すべく、近く新しい組織を立ち上げる予定にしています。ID&E推進のひとつとして女性管理職比率が上がれば、おのずと男女の賃金格差の改善にもつながっていくと考えています。

人財育成については、個人の興味や意識、キャリアプランなどに応じて受講できる研修メニューの充実に従来から取り組んできました。従来型の集合研修や通信教育に加え、外部専門機関と連携した多岐にわたるメニューをそろえたことで、1人当たりの年間研修受講数は1.4回に上っています。将来的には、経営層候補を対象にした研修メニューも追加していきたいと考えています。

また、2022年度は後継者育成について、新しい施策を開始しました。当社グループでは個々人が半年に1回、目標設定シートを作成し提出する仕組みがありますが、ライン職の管理職すべての層について、目標の2割を後継者育成とする制度を導入しました。この制度のもと、管理職は、自らの後継者の育成についての目標を定め、進捗を管理することとしています。

2つのガバナンス改革を実施しました

持株会社に移行して以来、ガバナンスのレベルアップに着実に取り組んできました。その結果、リスクマネジメント、コンプライアンス、情報セキュリティ、サステナビリティの4つの委員会をグループ全体で開くようになり、一体感を持って取り組む体制ができました。

2022年度は2つの大きな改革をしました。1つ目は、CEO等の後継者育成プランの大枠をつくったことです。2つ目は、初めて経営経験のある社外取締役に就任いただいたことです。その結果、社外取締役の比率が50%まで引きあがりました。地道な取り組みを行なったことで、かなりしっかりとした議論が行われる、あるべき取締役会に近付きつつあると感じています。

ESGの意識を浸透させていく取り組みを開始

ESGの意識を社員に浸透させることも重要な課題です。そこで、2022年度から、国内では現場の小集団活動のテーマ選定にESGの視点を入れてもらっています。始めて1年ですが、「エネルギー効率を高めて環境負荷の小さいオペレーションにするには」といったテーマで、成果をプレゼンしてくれる工場が現れるなどの成果が出てきています。社内イントラネットでも社内活動を頻繁に紹介し、トップダウンではなくボトムアップ的なアプローチが出てきたことに手応えを感じています。

ESG分野における主な取り組み
取り組む課題数値目標等2022年度実績
E
環境に配慮した
生産
13.気候変動に具体的な対策を
  • 2013年度+αを基準に、総量でCO₂排出量を46%削減(2030年度)
  • CO₂排出量をネットゼロ(2050年)
  • 廃プラスチックの再資源化率 65%以上(2030年時点)
  • 中計環境目標を変更・新設
  • 第二九州工場に太陽光発電パネル設置検討
  • 三田西工場にて太陽光発電パネルによる発電開始(2022年度の発電量:同工場の年間使用電力のうち、5.9%)
S
人財育成、
働き方・働きがい、
人権尊重
8.働きがいも経済成長も10.人や国の不平等をなくそう
  • 安全・多様な職場環境
  • コロナ禍対応の在宅勤務制度から在宅勤務制度の恒久化に移行
  • ストレスチェック結果に係る職場改善への活用
  • 社員意識調査及びヒアリング調査の実施(次期対策検討)
  • ダイバーシティの推進
  • 社内で実施したジェンダー意識調査結果を踏まえ設置した社内プロジェクトにおいてID&E推進に向けたアクションプランを提言
  • 人権尊重への取り組み
  • ハラスメントに関するコンプライアンスeラーニング
  • エンゲージメント調査に基づくID&E取り組み(Upsher-Smith)
G
コーポレート
ガバナンスの深化
17.パートナーシップで目標を達成しよう
  • 持株会社化を通じたガバナンスの整備・運用深化
  • 関係者メンバーを含む各種委員会の取締役会への直接報告
  • 指名・報酬等ガバナンス委員会でCEO等の後継者計画の立案に着手
  • リスクマネジメント・コンプライアンス強化
  • コンプライアンス、情報セキュリティ等のeラーニング
  • ISMS認証取得(ISO27001)、標的メール型訓練等情報セキュリティガバナンスの強化

すべてのステークホルダーと強い絆を構築し、
持続的な成長を目指します

冒頭にも申し上げたように、当社グループは我々だけで成長できる訳ではありません。患者さんや医療関係者の皆さまをはじめ、地域社会、地球環境など、すべてのステークホルダーとの絆を構築し、ともに成長していくことが、私たちにとってのサステナビリティです。

そのサステナビリティを推進していくうえで大切にしていかなければならないのが、当社グループの企業理念や企業文化です。企業理念に共感して入社し、社会とのつながりを大切にする社員たちの存在を強みに、当社グループがサステナビリティの基盤となるESGについてもしっかりと取り組んでいると認めていただけるレベルに高めていくことが、私の責務です。全社員と力を合わせ、社会とともに長期にわたって持続的に成長していける企業グループを、今後も目指していきます。

サワイグループホールディングス 統合報告書2023

PDF版 全頁ダウンロード

PDF版 分割ダウンロード

バックナンバー