CFOメッセージ
- サワイグループホールディングス株式会社
取締役 常務執行役員
グループ財務部担当役員 - 中岡 卓
財務規律を保ちながら成長投資を継続し、
さらなる企業価値向上を目指します
2025年度の経営成績
サワイグループは中期経営計画「Beyond 2027」において、経営基盤強化の重点テーマのひとつに資本効率改善を掲げ、ROE10%以上、ROIC8%以上を重要指標として取り組んでいます。これらの目標は、当社グループの資本コストを上回る水準として設定したものであり、株主・債権者の皆さまからお預かりした資本に対して、それを上回るリターンを生み出すことが経営としての責務であると考えています。投資すべきものには積極的に投資し、その投資をいかに効率よく回収するかを重視しながら、グループ一丸となって資本効率の改善に取り組んでいます。
中期経営計画2年目となる2025年度を振り返ると、財務面での進捗は計画に対して厳しい状況にあったことを率直にお伝えしなければなりません。売上収益は選定療養制度の導入効果や新製品の貢献により前期比6.7%増の2,017億円と堅調に推移した一方、利益面では計画を下回る結果となりました。
主な要因の1つ目は、グループ中核会社である沢井製薬のテリパラチドに係る知財訴訟の和解費用で、2025年度第2四半期に和解費用として約40億円を支出しました。これは一過性の費用であり、2026年度以降の業績には影響しません。グループ全体として事業性評価と訴訟リスク管理をより厳格に行い、今後の再発防止に努めてまいります。
2つ目は、グループ全体の生産数量の計画が未達であったことです。計画183億錠に対して実績166億錠と17億錠の未達となり、売上総利益率の改善が想定どおりに進みませんでした。
3つ目は、将来の成長に向けた先行投資として生産人員を増やした結果、労務費が増加したことです。安定供給体制の強化や新規事業への先行投資に伴う販管費の増加も、利益を押し下げる要因となりました。しかしながら、これらは将来の収益拡大のために必要な投資と考えています。
続いて、一過性費用を除いたコア営業利益について説明いたします。コア営業利益は前期比3.6%減の248億円となりました。上述の労務費・販管費の増加が売上総利益の増加分を上回ったことに加え、薬価改定による利益率低下も押し下げ要因となりました。これらのコスト増加は、2026年度以降の生産能力拡大と収益改善に向けた布石であると位置付けており、その成果を数字でお示しすることが責務と考えています。
2026年度は、こうした課題を乗り越え、業績を成長軌道に戻す年と位置付けています。売上収益は前期比3.3%増の2,084億円、コア営業利益は同19.5%増の296億円、営業利益は同71.1%増の272億円、親会社所有者帰属当期利益は同78.2%増の186億円を計画しています。新製品の販売による利益率改善、そして生産数量の増加を通じて、売上総利益率は29.2%から31.4%に改善し、ROEは10%水準への回復を見込んでいます。2026年10月以降は、オーソライズド・ジェネリック(AG)に関する薬価制度の見直しによって、新製品の廃棄ロスリスク軽減、さらに販売シェアの拡大が期待されます。長期ビジョンで掲げる2030年度のROE13%以上の達成に向け、グループ全体で利益率改善と資本効率向上の両面に取り組んでまいります。
キャッシュアロケーション計画
当社グループのキャッシュアロケーションの基本方針は、グループが生み出す営業キャッシュフローを最大の原資としながら、必要に応じて借入・社債による資金調達を組み合わせ、成長投資と株主還元を両立させることにあります。2025年度は長期借入205億円・社債74億円を調達し、第二九州工場新固形剤棟やトラストファーマテックへの設備投資を行いました。Cash Outの配分については、まず国内ジェネリック医薬品事業の生産能力増強への成長投資を最優先とし、次いで安定的な配当を中心とした株主還元、そして将来の事業基盤となるデジタルヘルスケア等の新規事業への先行投資という優先順位で考えています。財務健全性の観点からは、Net D/Eレシオを適切な水準でコントロールすることを意識しながら、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローのバランスを取ることが重要と認識しています。
成長投資のなかで特に重要なものを3点挙げます。1つ目は、第二九州工場新固形剤棟ステップ2への投資です。2026年12月の稼働開始を予定しており、グループの生産能力を15億錠増強します。需要は旺盛であり、生産能力の拡大が販売機会の拡大に直結します。投資回収は、2027年度以降の販売数量増加による売上・利益の拡大を通じて実現することを目指します。
2つ目は、トラストファーマテックへの投資です。合計で生産能力を25億錠増強する計画であり、グループ全体の生産能力を2030年度に250億錠体制とする長期計画の中核を担います。
3つ目は、デジタルヘルスケア・医療機器事業への先行投資です。デジタル分野は薬価改定に縛られず売上を積み上げていけるビジネスであり、現時点で突出した競合が存在せず、大きな事業機会があると考えています。この分野での中長期的な収益化を目指してまいります。
キャッシュアロケーション計画の進捗については、設備投資はほぼ計画どおりに実行できています。一方、2025年度は訴訟費用の支払いや棚卸資産の増加により営業CFが前期の278億円から74億円へと大幅に減少し、フリーCFはマイナスになりました。2026年度は業績回復に伴う営業CFの改善を見込んでおり、引き続き財務規律を保ちながら、成長と還元のバランスを取った資本配分を実行してまいります。
株主還元方針
当社グループの株主還元方針は、中長期的な利益水準や親会社所有者帰属持分配当率(DOE)3.0%以上を総合的に勘案しながら、安定的かつ継続的な配当を実施することを基本としています。
配当については、2022年度・2023年度の年間43.33円(株式分割後換算)から、2024年度は53円へと増配し、2025年度は55円、2026年度は56円を予定し、安定した配当の継続を目指します。2025年度のDOEは3.6%と目標の3.0%を上回る水準を維持しています。
自己株式取得については、当社グループの資本効率性を高めることを最大の目的に、2024年7月から2025年2月にかけて330億円、株式総数の12.2%に当たる約1,601万株を取得しました。取得した全株式は2025年4月に消却しています。
今後も、フリーCFや市場動向等を踏まえて、機動的な自己株式取得を視野に入れています。中期経営計画では2024〜2026年度の3年間の配当総額を190億円以上としており、事業成長による利益拡大を通じた1株当たり当期純利益(EPS)の向上と、DOEを意識した安定配当の継続を両輪として、株主価値の持続的な向上を目指してまいります。
社会とともに持続的に発展する総合ヘルスケアグループとして、2030年度の長期ビジョン実現に向けて力強く前進してまいります。株主・投資家の皆さまの変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
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