安定供給体制の確保
生産本部長・工場長による鼎談
確かな品質を安定して届けるために
生産現場を率いる
3名が語る使命と挑戦
サワイグループでは、ジェネリック医薬品業界全体の課題である
供給不足の解消に向けた取り組みを進めています。
生産現場を率いる工場長と生産部門の責任者が、進捗や課題について語り合いました。
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- サワイグループ
ホールディングス株式会社
常務執行役員
グループ生産統括役員
(グループCPO) - 蓮尾 俊也
- サワイグループ
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- 沢井製薬株式会社
第二九州工場
工場長 - 荒木 照男
- 沢井製薬株式会社
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- トラストファーマテック
株式会社
工場長 - 柳 敏宏
- トラストファーマテック
生産部門を取り巻く環境と自己の役割
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- 蓮尾
- ジェネリック医薬品は、2020年以降に表面化した、複数のジェネリック医薬品メーカーの製造管理・品質管理をめぐる問題に端を発し、多数の品目で供給不足が発生しました。沢井製薬をはじめ各社が増産に取り組んでいますが、いまだ完全な解消には至っていません。この課題を解消するため、私はグループの生産部門の統括責任者として、ジェネリック医薬品の供給不安の解消に取り組んでいます。
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- 柳
- 私は、トラストファーマテックの工場長としてグループ全体の安定供給や増産体制に貢献することを使命と考えています。2025年度の生産量は10億錠強、2026年度は前年の約1.5倍にあたる16.5億錠となる予定です。工場の製造能力自体は約30億錠あることに加えて、2027年には、清間第二工場と清間第三工場に新たな設備が竣工するため、生産量を伸ばす余地は十分にあります。今後も引き続き沢井製薬からの移管品を受け入れ、当社グループの供給力増大を支えていきます。
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- 荒木
- 私が工場長を務める沢井製薬の第二九州工場では、当社グループの生産能力を2030年度に年間250億錠に拡大するという会社方針のもと、生産能力の増強を進めています。第二九州工場は2024年7月に新棟が竣工し、第一段階として20億錠の生産能力設備を導入し、同年12月から出荷を開始しました。さらなる生産の拡大が必要とされ、現在、第二段階としてさらに15億錠の生産能力設備の導入を進めています。2026年12月予定の全設備稼働に向けて、生産増に対応できる人財の確保と育成、品質保証を強化するシステムの整備を進めることが私の役目だと認識しています。
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- 蓮尾
- 第二九州工場では、第二段階の設備投資が完了すると、既存棟の25億錠を含め計60億錠の生産体制が実現し、沢井製薬の主要製品群である固形剤の生産能力が当社グループで最多となります。品質面でも、新棟には製造実行システム(MES:Manufacturing Execution System)と品質試験情報管理システム(LIMS:Laboratory Information Management System)を導入し、より容易かつ確実に製造・品質試験を実施できる体制を整えました。
安定供給を支える「人」への投資
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- 柳
- トラストファーマテックは、旧小林化工の設備と従業員を引き継いで設立された会社です。生産部門243名を含む総勢403名で立ち上げました。立ち上げ時にはGMP教育を徹底し、手順書の整備にも時間をかけました。また、130名超を沢井製薬の各工場へ派遣し、最長3年をかけて当社グループが定める基準を学びました。現在は、研修に行ったメンバーがそれぞれの持ち場に戻り、学んだ考え方を先頭に立って広めてくれています。さらに現場においては、これまでの経験をもとに、それぞれが自分たちのなすべきことを考え、自律的に行動できるようになってきたと感じています。
会社設立から1年3か月後の2023年7月には、秤量から包装までの一貫生産による製品の初出荷を果たし、旧小林化工からのメンバーは「またこの工場から出荷できた」と感慨深げでした。
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- 蓮尾
- トラストファーマテックは、沢井製薬から技術移管を受け、製造・試験に関する全文書を当社グループの基準に則って再構築するなど、生産開始に向けた準備に時間と労力をかけ、強固な生産体制を築いてくれました。また、第二九州工場の新固形剤棟建設では、需要の急伸を背景に、当初の計画よりも早期の生産開始や増産が期待されました。このプレッシャーのなか、約40名のプロジェクトメンバーが建設工事から設備導入、立ち上げ準備まで携わり、猛暑や大雨による工期延長や物価高騰などの影響を乗り越え奮闘してくれました。並行して、新たな設備で製造、試験をするための文書類を整備し、実生産を担うメンバーの採用、育成も計画的に進めてくれています。人財の確保、育成は、両工場にとって最重要課題です。こうして着実にステップアップを図ってこられたのも、これまでの人財育成があればこそと感謝しています。
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- 柳
- 目下の課題は、製造に携わる中堅層の人財育成です。沢井製薬で実施している研修をトラストファーマテックに適用し、メンター制度の導入も進めているところです。やはり人を育てるには時間がかかります。コンプライアンス意識を浸透させ、一人ひとりのモチベーションを維持・向上させて、「患者さんの健康に関わる医薬品を扱っている」という責任感を一層高めていくことが重要です。
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- 荒木
- 第二九州工場では、新規採用については、新棟建設に先立ち、工場のある福岡県飯塚市のご協力のもと2020年から順調に進めてきました。しかし、人財育成面では、トラストファーマテックと同じ課題に直面しています。品質保証の観点からも、年々高度化するGMPの要求水準に対応するため、個々の意識と実践力を高める教育と手順書の改定を迅速に進めなければいけません。今後もeラーニングなどを活用し、作業者認定取得に向けた教育にも注力していきます。長期的な目線で教育体制を拡充することで、指導者側の教える力が高まり、新入社員の成長も加速していくと考えています。
- 注)カッコ内は前期末との比較、人員数は工場のみ、契約社員、派遣社員を含む
クオリティカルチャーの醸成を目指して
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- 荒木
- 第二九州工場の新棟に導入した製造実行システム(MES)と品質試験情報管理システム(LIMS)は、人的ミスを削減し品質の管理精度や保証を飛躍的に高めるのに、大きな役割を果たしています。また、従来は二人で行っていたチェック作業を、システムの力を借りて一人で担えるようになるなど、生産効率の向上にもつながっています。当初、システムの導入にあたっては、構築に要する時間や操作人員の不足、慣れるまでの作業効率の低下を懸念する声も、現場から上がっていました。しかし、作業効率の向上や品質保証の強化といった導入効果を丁寧に説明することで、現場の理解を得ることができました。現在は円滑に運用が進んでいます。
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- 蓮尾
- 当社グループの従業員数は急速に拡大しています。2016年3月末の1,490名から、2026年3月末には3,630名となり、10年で2倍以上に増加しました。このうち約4分の1が直近2、3年で入社しています。この急速な組織拡大に対し、現場を束ねる中堅層の育成がまだ追いついていません。品質の確保には習熟度の高い中堅層が不可欠なため、スキルアップや人財育成の施策について、荒木さんや柳さんをはじめ、各工場長の皆さんと議論を重ねています。
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- 柳
- トラストファーマテックは、従業員の多くが旧小林化工の製造管理問題を経験しているため、事業を支える基盤としてのコンプライアンスの重要性は、一人ひとりの意識に深く根付いていると感じます。一方で、中途採用者の増加や時間の経過に伴い、その意識が希薄化するリスクにも注意を払わなければなりません。専門用語を並べるだけの研修では十分に伝わらないため、受講者が理解している前提に立たず、納得し、自分ごととして捉えられるような伝え方に重点をおいています。例えば、動画を用いてわかりやすくするなどの工夫を行い、新入社員を含む全従業員のスキルアップにつながる教育を推進しています。
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- 荒木
- 私が工場長として最も意識しているのは、安全第一で工場を稼働させることです。そのうえで、品質の確保と安定供給のバランスを保つこと、さらにそれらを支える風通しの良い職場環境をつくることを重視しています。
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- 蓮尾
- 品質確保と安定供給の2つは医薬品の製造現場に不可欠な両輪です。しかしながら、品質問題の多くは、そのバランスが崩れ、安定供給に偏ることで発生します。問題を未然に防ぐには、上司や同僚とのコミュニケーションを活性化させ、困りごとや違和感を率直に相談できる環境が不可欠です。
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- 荒木
- 職場環境改善や品質を含む業務改善という点では、当社グループでは以前から「M1倶楽部活動」に取り組んでいます。「M1」は「みんなで一番」を意味し、小集団で約半年かけて改善活動を立案、遂行し、その過程での工夫や成果を全社に発表するものです。グループ全体での選考を経て、2025、2026年度は、第二九州工場が2期連続で優勝しました。現場の様子を見ていても、安全や品質への意識だけでなく、自ら課題を見つけ、率直に意見を出し合いながら改善につなげる文化が根付いてきたと実感しています。
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- 柳
- トラストファーマテックの研修では、部署横断でのグループ討議も活発に行っています。研修を通じて社内の関係性を築くことで、日々の業務もよりスムーズに進むため、受講者には、「みんなが働きやすい職場をつくるためにも、ぜひ横のつながりを広げてほしい」と伝えています。私自身もこれまで、様々な場を通じて部署を超えたつながりを築いてきました。そこで得た仲間とは、今でも困った時に支え合える関係です。こうした助け合いが「仲間や会社の役に立っている」「社会に貢献できている」という実感につながり、ひいては品質に妥協しない誇りを生むと考えています。
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- 蓮尾
- 品質を最優先に考えたうえで、作業の合理化や最適化を図っていくことも、生産部門の重要な課題です。行政処分を受けた品質試験をめぐる問題を契機に、当社グループではここ数年、GMPの遵守をはじめとする品質管理の仕組みの見直し、再整備に取り組んできました。その一方で、確認事項が増えたことなどにより、一人当たりの生産性は一時的に低下しているのが現状です。工程の自動化や無人運転の延長、システム化やAI活用など、様々な手段を組み合わせて、品質確保を後退させることなく、生産性を向上させていくことが次の大きなテーマと言えます。また、2025年度の初めには改善提案制度を新設し、工場間で改善点を共有する仕組みも整え、継続的な改善活動を推進しています。これらは単なる制度や仕組みづくりではなく、一人ひとりの意識や行動に根差した企業風土や企業文化を育てる取り組みだと考えています。当社グループの行動基準である「ひとつ上の品質へのこだわり」を全員が体現できるよう、クオリティカルチャーの醸成に向けて、今後も愚直に取り組みを継続していきます。
「ひとつ上の品質」を目指し
互いに高め合い、成長し続ける生産部門へ
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- 蓮尾
- 「なによりも患者さんのために」という沢井製薬の企業理念と、当社グループの行動基準である「ひとつ上の品質へのこだわり」を指針に、現在は各工場で4つの大きなテーマを掲げ、取り組みを進めています。それは「高い意識を持った社員の集まりにしよう」「コミュニケーションが良好な職場にしよう」「安心安全な職場にしよう」そして、「人財育成、自己成長を目指す社員の集まりにしよう」です。これらすべてをバランスよく実現することが大切です。
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- 柳
- この取り組みの鍵となるのは、やはり人です。設備は増やせば増やした分だけ働いてくれますが、人はそうはいきません。一人前になるには教育が必要で、育つまでには相応の時間がかかります。その教育は、今のところAIで代替できるものではなく、人を増やせば解決するという問題でもありません。だからこそ、安定供給と品質を両輪で追求しながら、それを担う人財をじっくりと育てていくことが、私たちの使命だと考えています。
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- 荒木
- おっしゃるとおり、品質、安定供給、人財育成のバランスが重要です。安定供給ばかりを優先していては品質がおろそかになるように、この3つのどれかひとつに偏れば、必ず歪みが生まれます。工場の最終責任者である私たちが、バランスを常に見極めながら、現場の舵取りをしなければいけません。その先で、確かな品質の薬を安定して社会に届けるという本来の役割を全うしていきます。
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- 蓮尾
- 私は常日頃から、お二人をはじめ工場長・部長の皆さんに「まず自分たちが勉強しよう」「自らを磨かなければ、部下を導くことはできない」と伝えています。繰り返し熱く語ることで、一人ひとりが研鑽を重ねる姿勢を生産本部の文化として根付かせ、互いに高め合いながら成長し続ける生産部門をつくっていきたいと思っています。
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