ジェネリック医薬品事業

サワイグループホールディングス株式会社
取締役 専務執行役員
沢井製薬株式会社 代表取締役社長
中手 利臣

医薬品に携わる自覚と責任を軸に、
社会から選ばれ続ける会社を目指します

SWOT分析

Strength 強み
  • トップメーカーとしてのブランド力
  • 安定した財務基盤
  • 迅速な投資による生産能力増強
  • 一番手/単独上市が可能な開発力
  • 高付加価値製品を可能にする製剤技術
Weakness 弱み
  • 生産能力の拡大に対応できる人財の確保と育成
  • 多品種少量生産による 生産効率の制約
Opportunities 機会
  • ジェネリック医薬品業界の再編機運
  • 高齢化の進行による需要拡大
  • ヘルスケア・医療環境ニーズの拡大
  • ジェネリック医薬品の社会インフラ化
  • 適正価格販売を促す企業評価制度
  • AGの薬価制度の見直し
Threats 脅威
  • 地政学リスクの高まり
  • ジェネリック医薬品の供給不安による信頼の低下
  • 原材料や光熱費のコスト上昇
  • 毎年薬価改定による薬価引き下げ
  • 諸制度の変更

私たちの仕事の先にいる方々を想像し、
自覚と責任を持って医薬品を届けます

2026年4月に沢井製薬の代表取締役社長に就任しました中手です。私と薬学・医薬品業界との関わりは、1985年に大学卒業後、藤沢薬品工業(現アステラス製薬)へ入社したことから始まります。同社では、製剤研究所での製剤設計・開発や工場への技術移転などの製剤開発業務に20年以上携わり、その後、3つの工場で工場長を経験し、生産子会社の代表取締役として3年間務めました。沢井製薬入社後は、これらの経験を活かし、品質保証や信頼性保証を担ってきました。

私が医薬品業界を志したのは、自身の小児喘息の経験があったからです。小学生のころ、気道を広げる吸入剤が登場し、その効果に驚くとともに、ありがたさを実感しました。この想いは、大学で専攻を選ぶ際のきっかけになっただけでなく、私の企業経営の原点にもなっています。前職時代には、ドイツ、アメリカ、アイルランドの3か国で海外赴任を経験しました。そこで開発から生産、技術移転にいたるまで、グローバルな製薬業界の動向を知ることができたことも、経営者として貴重な財産となっています。

前社長のもとで進めてきた品質・信頼性保証基盤の強化においては、私自身が本部長として執行責任を担ってきました。これまで導入してきた仕組みをさらに現場に定着させ、サワイの文化として深く根付かせることが、社長としての私の大きな使命です。当社は2026年度に年間220億錠の自社工場の生産設備規模を目指しており、2030年度には250億錠まで拡大する計画を進めています。前社長時代に決定した第二九州工場やトラストファーマテックの機能増強についても、責任を持って着実に推進し、供給力のさらなる強化を図っていきます。

生産設備能力の強化とあわせて、実際にその生産を支える人財を育成することで、確かな品質の医薬品を生産できる体制を築くことが重要です。品質への取り組みで私が最も大切だと考えているのは「自分たちが製造して届けているものは医薬品である」という自覚と責任を社員一人ひとりが持つことです。この意識がなければ、曖昧な対応や安易な方法を選び、ルールを逸脱することにつながりかねません。患者さんは決して遠い存在ではなく、明日は自分自身や大切な家族がその立場になるかもしれないと考えれば、どのような意識で仕事に向き合うべきか、自ずと見えてくるはずです。まずはこの認識を一人ひとりがしっかり持つことが、当社の品質の土台になります。

また、品質を向上させるためには、ルールを正しく理解し、確実に守ることが不可欠です。さらにルールの背景にある技術やサイエンスを理解することも、品質トラブルのリスクを下げるために欠かせません。これから入社される方にも、まず医薬品を扱っているという強い自覚を持ち、手順を守りながら技術を身につけ、品質を支えていく姿勢を大切にしてほしいと考えています。

こうした取り組みに加え、従業員のエンゲージメントを高めることも大切にしています。そのためには、経営や職場環境における透明性の確保と、双方向のコミュニケーションが重要です。定期的に行う経営層と従業員による少人数での意見交換の場や、公益通報窓口「企業倫理ヘルプライン」の強化もその一環であり、声を上げやすい環境を整えることは、組織の課題を早期に発見し、自律的な改善へと動く健全な風土へとつながります。こうした従業員との信頼関係を高める取り組みは、今後もしっかりと継続していきます。

今年度の社長方針には、「真心を進化の力に」を掲げています。ここで言う真心とは、コンプライアンス意識やハラスメント防止、組織間連携、コミュニケーションに加え、自分たちの仕事の先にいる患者さんや医療機関の方々を想像する姿勢です。この真心を会社や人の成長につなげるために、「挑戦」「考動」「コンプライアンス」を重視しています。倫理意識をすべての土台とし、現状に満足することなく、変化を先取りして向き合う挑戦のマインドを持つこと。そして、自律的に考えて動く考動を実践することを、これからの経営の判断軸として大切にしています。

在庫を適正に管理しながら生産能力を高め、
市場の需要に応えていきます

2025年度の業績における大きな課題は、生産数量と販売数量のギャップでした。183億錠の生産を計画していましたが、実績は166億錠にとどまり、想定していた数量をつくり切ることができませんでした。一方、販売実績は171億錠となり、差分の5億錠は在庫を取り崩したことになります。これを受け、2026年度は生産計画を180億錠とし、販売数量も前年度比2.9%増の176億錠を計画しています。在庫を適正に確保しつつ生産能力を高め、市場の需要に適切に応えていきます。

当社は安定供給と生産効率向上の一環として、2025年9月にジェネリック医薬品の製造集約と品目統合に向けた協業について日医工株式会社と合意しました。2026年6月には、その初めての成果として「アトルバスタチン錠」の製造所集約に係る特定製法変更迅速審査の承認を取得し、生産リソースの最適化を進めています。日医工との協業は、両社が製造する品目を一定程度集約することで、生産の効率化や原価低減につながるだけでなく、それによって生み出された製造キャパシティを他の製品に振り向けられる点においても、大きな意義があると考えています。

安定供給体制の強化に向けて、
様々な施策に取り組んでいます

2025年度の生産数量が計画未達となった主な要因は、新しく迎えた人財が現場で力を発揮し、自立するまでに想定以上の時間を要したことにあると考えています。採用を進めて人員を増やしながら教育にも取り組んできましたが、育成に時間が必要になり、また指導にあたる従業員の負担も大きかったことから、生産量の伸びに影響しました。これを受け、教育体制の見直しも行いました。現在は、特に高校卒業後に入社する新入社員に対する社会人教育も含め、メンター(精神的なケア)と技術指導の役割を明確に分けて教育を行っています。その結果、従業員の着実なレベルアップが進んでおり、将来的な生産能力増強を実現できる確かな手ごたえを感じています。今年度の180億錠の生産目標については、この教育体制の見直しを経てしっかりと力を付けてくれた、昨年度までに入社した従業員たちを中心に目指せる体制が整ったと考えています。さらに、今年度も生産本部に150名を超える新卒社員を迎えることができました。彼らについても、将来の一層の生産能力強化に向けた頼もしい力になっていくことを期待しています。

2030年度に向けた自社生産能力の増強
2030年度に向けた自社生産能力の増強
  • 注)生産能力の前提:現在の品目数について平日2交代で機械を稼働し続けた場合を想定。委託は含んでいない。

生産のロボット化・自動化、効率化については、計画的に取り組んでいます。試験業務を支援する品質試験情報管理システム(LIMS)は、全工場への導入を進めており、試験や品質管理のさらなる効率化につなげていきます。また、AIについては、工場で発生する逸脱やトラブルなどのデータ活用及びナレッジの共有に大きく貢献できるツールと考えています。昨年稼働させた品質イベント管理システムには、各工場で発生した事例がデジタル情報として蓄積されていますが、AIを活用して過去の類似事例や対応内容を素早く検索、分析できるようになれば、教育資料としての活用やトラブル発生時の調査・判断の精度向上につながるはずです。

今後さらに取り組んでいきたいのは、製品ごとのライフサイクルマネジメントです。新製品を上市する際には、それが社会に届ける価値や事業としての継続性を多角的な指標で評価し、健全な運用が可能かを慎重に見極めています。医薬品には極めて高い社会的責任があり、それを必要とする患者さんがいらっしゃり、当社のみが供給している品目であれば、責任を持って患者さんにお届けし続けなければなりません。

一方で、そうした社会的責任のもとで安定供給を果たすためには、企業として持続可能であることも不可欠です。成長分野への積極的な投資や、他の製品群での適切な収益確保を通じて、医療への貢献と強固な経営基盤のバランスを高い次元で両立させていく必要があります。今後は、一つひとつの製品の価値を丁寧に見極めてその役割を最大化するとともに、社会インフラとしての安定供給体制をさらに強化していく考えです。

一人ひとりの成長を組織の成長につなげ、
信頼され続ける会社を目指します

今後の経営において最も重要なことは、確かな品質の医薬品を安定的にお届けできる体制の強化です。あわせて、医薬品を適正に使用していただくための情報提供にも、しっかり取り組んでいきたいと考えています。服用方法や取り扱い方、他剤との相互作用などの正しい情報をお届けして初めて、医薬品はその価値を十分に発揮できます。当社では、メディカルコミュニケーション部やMR、学術部門が有機的に連携し、医療機関や患者さんに必要な情報を的確にお届けする体制を構築しています。

私は従業員に対して、医薬品を「つくる」プロフェッショナルとしての自覚を持ってほしいと伝えています。ここで言う「つくる」とは、製造部門だけでなく、研究開発から品質管理、情報提供にいたるまで医薬品を患者さんにお届けするすべてのプロセスに携わる仕事を指します。一人ひとりがプロとしてなすべきことを考え、自己成長を続けることが、組織全体の成長につながります。一人ひとりの成長と組織間の密な連携を高めていくことで、品質保証の仕組みをより高次に機能させ、確かな品質の医薬品の安定供給を実現していきます。

これらの取り組みを着実に積み重ね、継続していくことで、患者さんや医療関係者の皆さまから選んでいただけると同時に、広く社会からも信頼され続ける会社を目指していきます。そして、企業価値を高め、すべてのステークホルダーの皆さまの健やかな暮らしに貢献してまいります。

取締役 専務執行役員
沢井製薬株式会社 代表取締役社長
中手 利臣

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