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CFOメッセージ

常務執行役員 グループ財務部担当役員
中岡 卓

資本効率のさらなる向上を図り、
持続的成長と中長期的な
企業価値向上を目指します

収益性の向上と資本効率改善の進捗状況

(1)収益性の向上は計画未達

中期経営計画「Beyond 2027」では、経営基盤の強化に向け「資本効率改善」を掲げています。経営上重視するKPIについては資本コストを意識したKPIの積極活用へと変更し、ROE 10%以上、ROIC 8%以上、Net D/Eレシオ 0.4以下、自己資本比率50%以上、DOE 3.0%以上という各目標の達成に向け、2024年度は、収益力の向上、資本効率の改善に着手しました。

しかしながら、沢井製薬製品に関する訴訟損失引当金に係る費用計上※1によって、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益ともに2023年度対比で減益となり、計画は未達でした。

  1. ※1詳細については、下記の適時開示をご覧ください。
    ・2025.05.27「 当社連結子会社に対する訴訟の判決に関するお知らせ」
    https://pdf.irpocket.com/C4887/hZTq/OV5o/clqv.pdf
    ・2025.06.03「 その他の費用(訴訟損失引当金繰入額)計上に関するお知らせ」
    https://pdf.irpocket.com/C4887/A2Jy/lkCM/BAmT.pdf

(2)Net D/Eレシオは目標水準以下でコントロール

訴訟損失引当金に係る費用計上が影響し、2024年度のROEは6.2%、ROICは4.3%といずれも目標未達でした。ROE10%以上を達成するために、新製品の開発・上市、価格戦略によるさらなる単価改善、製品の評価損や廃棄損の削減によって収益性を高めることが最優先です。同時に、株主還元を実施することで、自己資本増加の抑制に取り組んでいきます。

一方、Net D/Eレシオは米国事業売却によって低下し、その後の自己株式取得によって上昇しましたが、2024年度は0.3と目安の0.4以下にコントロールしています。Net D/Eレシオを0.4以下で保つには、営業CFと投資CFのバランスを取ることが重要です。キャッシュ・コンバージョン・サイクルを短くし、資金の効率性を高めることで、運転資金需要の減少を目指します。今後も引き続き効率的な生産と最適在庫水準を緻密に設定し、過剰在庫の削減により棚卸資産の回転月数の短縮を図っていきます。

最終年度の各目標達成に向け、2025年度以降は本業のジェネリック医薬品事業における収益性向上とコスト削減を図ることで、増収増益、並びにROE、ROICといった資本効率性の向上を目指します。

(3)330億円の自己株式取得を実施

当社の資本効率性を高めることを最大の目的に、2024年7月から2025年2月にかけて330億円、株式総数の12.2%に当たる16,016,600株の自己株式を取得しました。330億円という取得規模に関しては、米国事業を買収した際に約330億円相当の公募増資を行っていることから、米国事業の売却によって、同等となる金額を市場に還元することを目指して設定しました。

取得した全株式は2025年4月30日に消却しました。取得した自己株式を売り出す可能性をなくすことで、株主、投資家の皆さまから見た株式希薄化のリスクを軽減することが、消却の目的です。

これら資本政策の結果、投下資本回転率と財務レバレッジが上昇し、2024年度のROEは2023年度対比で微減にとどめることができました。

キャッシュアロケーション計画

中期経営計画では、ジェネリック医薬品事業で生み出した営業キャッシュフロー1,450億円と、米国事業・政策保有株式等の資産売却資金450億円の合計1,900億円を原資に、研究開発や生産能力の増強、信頼性保証の強化といった成長投資を優先的に実行します。

2024年度は、営業CFが当初想定を下回りましたが、ジェネリック医薬品事業に関する設備投資、新規事業、株主還元などについて、ほぼ計画どおりに進捗しました。

また、2024年度は米国事業売却に伴い、フリーCFはプラスとなりました。2025年度、2026年度は、訴訟関連の賠償金支払を除けばフリーCFは若干のプラスとなる見込みです。新規事業も含めた投資については残りの2年間で1,000億円超を見込んでおり、新規事業は24億円+α程度を予定しています。

キャッシュアロケーション
キャッシュアロケーション
  1. ※2自己株取得に伴う手数料を含む

株主還元・配当方針

2024年度は、43.3円から53円への増配を実施しました。これによりDOEは2.7%から3.4%に上昇し、過去最高となりました。配当については、中長期的な利益水準、DOEなどを総合的に勘案しながら安定的かつ継続的な配当を目指します。

自己株式取得に関しては、今後も資本効率向上と株主還元策の一環として、フリーCF、市場動向などを踏まえ、機動的に実行していく方針です。中期経営計画では、3年間の配当総額を190億円以上としていますので、状況に応じてさらなる自己株式取得や増配を行う可能性もあります。

配当金の推移
配当金の推移
  • 注)2024年10月1日付の株式分割後換算

サワイグループホールディングス 総合報告書2025

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